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弁理士のドラマ

2023.04.13

今週から、毎週水曜日午後10時~日本テレビ系列で弁理士のドラマが始まりました。

「それってパクリじゃないですか?」というドラマです。

しばらくドラマは観ていなかったのですが、今回は弁理士業界でも話題になっているので、流石に観ることに決めました。毎週水曜日午後10時のスケジュールに入れています。

初回は、ある会社のアイデアが競合他社にパクられて、その競合他社に特許権を取得されてしまうという事件が題材となっていました。

そこで登場するのが弁理士です。その弁理士は競合他社の特許権を無効にするために「冒認出願」の立証を提案します。

特許を受ける権利は本来発明をした人が持っているのですが、「冒認出願」というのは、特許を受ける権利を有していない人(つまり、発明者ではなく、発明者から特許を受ける権利を承継した者でもない人)が出願することを意味していて、特許権を無効にするための無効理由となります。

一般的な弁理士の実務では、冒認出願が事件として顕在化することは稀ですが、冒認出願と主張されたら無効になり得るケースは潜在的に多く存在しているかも知れません。

例えば、比較的小規模な会社が出願人として特許出願を行う場合、「出願人」の欄には会社名を記載しますが、「発明者」の欄に会社の代表者の氏名を記載し、実際に発明をした(開発をした)従業員の氏名を記載しなかった場合、冒認出願の無効理由を内在している可能性があります。

特許を受ける権利は、発明をした人が持っている財産権ですので、「発明者」の欄には実際に発明をした(開発をした)従業員の氏名を正確に記載し、その発明者から特許を受ける権利を会社が承継したうえで特許出願を行う必要があります。そのような特許を受ける権利を従業員から会社に承継するための契約も、比較的小規模な会社では十分に整備できていないのが実情のように思います。

ただ、そのような専門的でややこしい話をドラマにしても視聴者はチンプンカンプンですので、今回のドラマのように、「パクった人」という悪者がいて、「パクられた人」がその悪者を懲らしめるというストーリーは、視聴者にとっても分かりやすく、ドラマの題材として取り上げるにはよい題材だったように感じました。

このドラマを通じて、弁理士の知名度が向上することを祈っています。

 

吉本